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施政方針

更新日: ページ番号:000236

国会の場合は、通常国会の冒頭で内閣総理大臣が行う演説を施政方針演説としています。町では、横瀬町議会の3月定例会において、町長が施政方針を述べています。
施政方針とは、その1年間の町政運営の基本方針として、政策の姿勢を示すとともに、翌年度の主要事業や予算についての方向性を示すものです。

横瀬町議会 令和6年3月定例会  施政方針

 本日、一括上程されました令和6年度一般会計予算、特別会計予算、公営企業会計予算の審議をお願いするにあたり、私の施政方針を明らかにし、議員各位並びに町民の皆様のご理解とご支援を賜りたく存じます。

【基本方針】

 令和5年度は、新型コロナウイルス感染症の影響から、3年以上の長きにわたり停滞していた社会経済活動がようやく平時に戻りつつある状況で迎えました。4年ぶりに、町民体育祭、よこぜまつり、敬老会などの行事が復活し、また、買い物困難者を支援する移動販売車「うえたん号」が運行を開始、エリア899オープン等中心地づくりが一層進展するなど、横瀬町が活発な動きを再開する起点となる1年になりました。
 そして、令和5年度は第6次横瀬町総合振興計画・前期基本計画の最終年度でもあります。前期計画の4年間は、新型コロナウイルス感染拡大の影響による行動制限等により、3年にわたり実施事業の規模の縮小・中止を余儀なくされる状況でありましたが、感染症対策やワクチン接種、様々な生活支援や経済支援など、危機対応を最優先としつつも、町民の皆様のご理解、ご協力によって、多様な幸せが花開く「カラフルタウン」の実現に向け、7つの柱の施策を着実に実行してきました。
 切れ目ない子育て支援を掲げた諸施策の実行、小・中学校の児童生徒への一人一台タブレット端末を整備した教育DXの推進や町造林を活用した横瀬小学校新校舎の整備、官民連携プラットフォーム「よこらぼ」を活用したヒト・モノ・カネ・情報の呼び込みによる地域活性化施策の実行、災害時初動訓練の継続実施と全世帯へのハザードマップの配付、チャレンジキッチンENgaWAやLAC横瀬、ナゼラボ等民営施設のオープンなど町有資産や町内の遊休資産を有効活用した町の中心地づくり、多様化する町民の困りごとへ対応するため福祉部門の再編と「なんでも相談室」の新設など、多岐にわたる諸施策を実施してきました。
 これらにより、人口減少の抑制、切れ目ない子育て支援の充実と先進的な教育環境づくり、関係人口の拡大、防災力の強化、町の中心地づくり、きめ細やかな住民相談サービスの拡充など、この4年間で、7つの柱による、まちづくりをしっかりと積み上げてきました。
 前期計画に掲げた各数値目標については、3月末で締めてあらためて整理しますが、7つの柱全体で着実な進捗は認められました。一方で、観光入込客数や各イベントの参加人数などがコロナ禍の強い影響を受け、数字が限定的なものに止まったほか、基本指標において、出生数や合計特殊出生率、町内事業所の新規雇用者数などの数値が目標値に届かず、依然として課題となっています。
 当町が、目標に掲げる「日本一住みよい町」「日本一誇れる町」はたいへん高い目標です。その最終目標を視界に捉えつつ、この計画期間では、多様な幸せが花開く「カラフルタウン」を目標にしています。そして、これらの目標は、全国的な傾向になっている、少子高齢化と、都市部への人口流出という流れにあらがって、消滅可能性都市の”明るくない未来”を”明るい未来”に変える、というたいへん難易度の高い目標でもあります。当町のこの計画における各数値目標は、難易度が高くても、「未来を変えるために必要な水準」を意識して設定しています。一例をあげると、当町の出生数や合計特殊出生率は、この間の様々な子育て支援策等により、近隣自治体と比較しても高く、埼玉県下では上位の水準までにはなりましたが、目標値には及びません。相応の積み上げはできてきているものの、高い目標に対してはまだまだ足りていません。そして、ここから先は、当町の人口構成からすると、出生数や合計特殊出生率はもちろん、様々な分野で、さらに厳しい状況になることが予想され、より一層踏み込んだ「未来を変えるための政策と実行」が必要になります。
 「ここまでは、しっかり積み上げてきている。しかし、未来を変えるためには、まだまだ足りない。まだまだチャレンジが必要である。」これが私の、総論としての横瀬町の現在地の認識です。
 これらを踏まえて、いよいよ令和6年度は第6次横瀬町総合振興計画・後期基本計画のスタートの年となります。より一層踏み込んで、「未来を変えること」をあらためて強く意識していきたいと考えます。
 計画策定にあたっては、町民の皆様が、何に困っているのか、何を必要としているのか、どうしたらもっと幸福になるのか、”町の声”を拾うことをまずは最優先課題としました。
 「町の声を聴くプロジェクト」として、各地区・団体からの意見聴取、窓口アンケートの実施、住民1,000人アンケート等により幅広い世代の町の声を聴くことができました。いただいた町民の皆様の声を一つひとつ内容を確認し、施策としてかたちにしました。また、コロナ禍の影響やライフスタイル・価値観の変化など、住民生活が大きな転換期を迎えているなか、急激に変化する時代に対応した施策や町民一人ひとりがその人らしく幸せに暮らしていけるウェルビーイングの指標も盛り込んだ新たな施策も取り入れ、計画の7つの柱のそれぞれの具体的な「目指すべき姿」、「取り組む主な施策」を策定しました。
 この先の後期計画期間の4年間は、外部環境、とりわけ当町の人口動態からすると、大きな危機感を持って臨まねばならないと認識しています。懸案の人口減少については、ここまではなんとか抑制こそできていますが、それでも全国的な傾向として、人口減少は、容赦なく進行していきます。何もしなければ、出生数や合計特殊出生率は一層落ち込みます。さらに、当町の地域コミュニティの中核を担っていた団塊の世代が後期高齢者になっていきます。速い速度で、現役世代が減少し、高齢世代が増える、町や地域社会にとっての”踏ん張りどころ”を迎えるこの先4年間、とりわけ町民一人ひとりに寄り添う福祉部門の働きは非常に重要になります。ここで、福祉部門が機能するために大切なことがあります。それが「対話」だと考えます
 後期計画初年度となる令和6年度は、本年度の「町の声を聴くプロジェクト」を一歩進め、「対話」を第一の重点テーマとします。町民の皆様や各関係者との対話の機会、および職員や関係者が「対話」を学ぶ機会を積極的に設け、庁舎でも、地域でも、町のあちらこちらでより多くの「対話」が実践される状況をつくっていきたいと考えます。「対話」の要諦は、まずは「立場の違う相手を尊重し、相手の話をよく聴くこと」にあります。役場や町にたくさんの「聴き上手」が生まれることを期待します。「対話」が必要なのは、「対話」を経ないと、なかなか人の本当の想いや困りごとが見えてこないからです。そして、コロナ禍を経て、人々の、地域の、結びつきが弱くなっていること、高齢者を中心に一人暮らしの方が増えてきていることなどが「対話」を第一のテーマに掲げる背景にあります。「対話」を通じて、町民の方の想いや困りごとに寄り添い、丁寧に対応し、町民皆様のウェルビーイング実現に繋げていきます。考え方や立場の違うお互いが、尊重し合い、対話ができる町。町民の方に、いつでも開かれ、親しみやすい「日本一相談しやすい町」を目指していきます。
 令和6年度は、「連携」を第二の重点テーマとして挙げたいと考えます。さらに積極的に「連携」を推進していきます。単独では難しくても、「連携」することで、新しい価値の創造や課題解決に繋がる可能性は大きく広がります。ここでいう「連携」とは、内部での連携、および外部との連携、具体的には、広域連携、(圏域外)自治体連携、官民連携などを指します。「連携」は、資源が限られる小さな当町にとって、非常に有効で重要な行政運営手段です。ここまで様々な「連携」の実績と経験値を積み重ねてきた今、当町における「連携」には大きな伸びしろがあります。
 内部連携については、例えば、空き家対策や、「日本一歩きたくなる町プロジェクト」の推進など、単独の課には収まらない行政課題に対応するために力を発揮しています。これから先も課の枠に収まらない課題については、柔軟に連携していきます。住民福祉の主たる窓口でもある、町民課、健康子育て課、福祉介護課はより一層連携して、対話をベースに、町民一人ひとりに寄り添った福祉事業を展開します。切れ目ない子育て支援をより一層推進するため、関係課所や保育所、児童館などがより密に連携していきます。そのなかで、横瀬町保育所については、存続を前提に、連動する重要な子育て拠点とあらためて位置づけ、施設整備や人材確保を進めます。建設課、振興課、まち経営課は、連携して、ウォーターパーク・シラヤマの整備、兎沢町有地や駅周辺を含めた中心地づくりや空き家対策などを進めていきます。
 秩父地域の広域連携は、小さな自治体同士が連携することで規模のメリットを享受し、様々な行政課題に対応できています。当町、そして秩父地域が持続可能であるために大きな課題となっている、地域医療分野等の諸課題については広域行政による、より一層の連携を模索していきます。
 また、広域連携とは別に、圏域を飛び越えての、自治体連携も積極的に活用していきます。一例として、令和6年度に町民課「なんでも相談室」に導入予定のオンラインカウンセリングは、一昨年から、連携をはじめている福島県磐梯町との連携から生まれたものです。このように、自治体同士で、アイデアやノウハウや人材を共有することで、行政サービスをより良いものに進化させていきたいと考えます。
 さらに、「よこらぼ」を軸に進めてきた官民連携は、当町の看板施策となり、これによって町にヒト・モノ・カネ・情報が集まる流れができ、まちづくりに活かせるようになってきました。加えて、そこでの経験や蓄積は、福祉分野での官民連携である移動スーパー事業や、磐梯町や海士町との自治体連携にも繋がるなど、これまで実践してきた「連携」がさらに新しい事業に結びついたり、新たな展開を生んだりするよい流れが着実にできてきました。この流れをより太くしていきます。一方で、これらの積み上げた経験や成果を、広く町民の皆様にしっかりと実感していただけるところまではまだ来ていないとも認識しています。この先4年間は、この様々なかたちでの「連携」をより一層推進していくこと、そして、町民の皆様をもっと巻き込み、「連携」の成果を目に見えるかたちで住民福祉の向上にしっかり繋げていくことを目指します。
 「よこらぼ」は引き続き、官民連携の柱として、さらに工夫を凝らした上で、運用を続けます。さらに踏み込んだ起業・創業支援を実施し、また、地域経済を支えてくれている事業者や、当町を応援してくれる事業者との連携を深め、地域経済の活性化を図っていきます。そのなかで、地域活性化起業人や企業版ふるさと納税の制度も積極的に活用します。引き続き、これらの連携を進めるため、まち経営課に新たに「連携推進室」を設置し、ここまで積み上げてきた様々な連携を結び、横串を通し、より町民の皆様と繋がった官民連携や自治体連携を推進し、連動させることにより、町にとっての新たな価値創造、住民福祉の増進に繋げていきます。
 令和6年度、第三の重点テーマは、あらためて「チャレンジ」です。昨年2月の総務省のふるさとづくり大賞優秀賞や、昨年11月の第18回マニフェスト大賞のコミュニケーション戦略賞優秀賞などの受賞や、行政視察やメディア露出の増加など、当町のまちづくりが注目され、対外的にありがたい評価をいただく機会は増えてきました。もちろん、積み上げはできてきていますが、当町は、まだまだこのままでいい町ではありません。町の未来を変えるためには、まだまだチャレンジが必須です。引き続き、「日本一チャレンジする町、日本一チャレンジを応援する町」を掲げていきます。私たち自身が現状維持でよしとせず、挑戦を続けるとともに、チャレンジを応援する町として、地域おこし協力隊や学生などの若い世代をはじめとする多様な人材を町に呼び込み続け、町民の皆様との交流機会を増やし、地域の課題解決や活性化に繋げていきます。
 ”四季折々の美しい色彩豊かな景観があって、そこに温かい人の輪がたくさんある。その一人ひとりは、いろいろな人がいて、みな自分らしく幸せに生きている”これが、私たちが目指しているカラフルタウンです。令和6年度の重点テーマに挙げた3つ、「対話」「連携」「チャレンジ」は、いずれもカラフルタウン実現のためには欠かせない要素であり、後期基本計画スタートにあたり、最も強調したい3要素です。
 さて、令和6年度は、昭和30年2月11日の芦ヶ久保村と横瀬村の合併から70年、昭和59年10月1日の町制施行から40年の節目の年度となります。
 昭和から平成を経て、時代は令和に。高度経済成長の時代から、低成長と未曾有の少子高齢化の時代へ、当町を取り巻く環境は劇的に変化しました。そのようななかで、当町がずっと積み重ねてきた、町民との協働、一体感のあるまちづくりは、変わることなく、我が町の誇れる伝統です。先輩諸氏に築いていただいた良き伝統を大切にし、さらに現代の行政課題を克服すべく、町民の皆様と対話を重ね、連携、連帯し、まちづくりを進めてまいります。町民の皆様一人ひとりが、その人らしい幸せを実感できる「カラフルタウン」、「日本一住みよい町」「日本一誇れる町」を目指し、引き続き、横瀬町らしく果敢にチャレンジしていきます。


【令和6年度 重点施策】

 続きまして、新年度の重点施策について説明させていただきます。第6次横瀬町総合振興計画の目標「カラフルタウン」実現に向けた7つの柱ごとに、重点施策を申し上げます。
 1の柱、切れ目ない子育て支援と教育の連携を目指す「人づくり」です。
 はじめに、これまで結婚・妊娠・出産・育児の切れ目ない支援として取り組んできました、「結婚新生活にかかる支援」、「出産・子育て応援金」、「小学校、中学校入学時での祝い金」、中学校の卒業時の「巣立ち応援金」、そして小中学校の給食費を無償化などを引き続き推進していきます。
 また、保育所の大規模改修に取り組み、保育サービスの向上とともに、新たに「こども家庭センター」を核として、相談支援体制強化することで、さらに切れ目ない支援を進化させます。
 さらに、令和5年度をもって横瀬小学校における新校舎をはじめ施設整備の充実が図られました。学校教育施設の次のステップとして、横瀬中学校における校舎等について、施設の老朽化を評価するため、耐力度調査を実施します。
 さらに、子ども・子育て支援のための施策を総合的に推進するため、第3期の「子ども・子育て支援事業計画」を策定していきます。
 次に、2の柱、全ての町民が健康に暮らせることを目指す「健康づくり」です。
 まず、令和5年度からスタートしました「移動スーパー参入促進事業」ですが、町内を週5日、45箇所を巡回して、町民の皆様にたいへん好評をいただいておりますが、令和6年度も引き続き、移動スーパーの事業者と連携して、買い物の機会や町民同士の交流の機会を確保するとともに、高齢者等の見守り活動をしていきます。
 また、疾病の予防と早期発見・早期治療のため、管理栄養士による訪問勧奨などにより、特定保健指導の利用率等の向上を図るとともに、健康教育や健康相談等の一層の充実を図ります。
 令和3年度から本格的に始動しました「日本一歩きたくなる町プロジェクト」ですが、埼玉県コバトンALKOO(あるこう)マイレージ事業と連携し、町内8箇所あるウォーキングコースを活用したウォーキング塾やウォーキング教室等を、引き続き、積極的に実施し、町民の歩きたくなる意識を醸成していきます。
 さらに、町民の健康の増進の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、「第4次健康よこぜ21プラン」等を策定していきます。
 次に、3の柱、防災、防犯、防火対策や、交通安全対策を推進し、全ての町民が安全で安心に生活できる環境づくりを目指す「安全安心づくり」です。
 防災対策として、災害時に使用する「自動ラッピングトイレ」をはじめとする物資・資材等の災害用備蓄品を計画的に整備し、万一の災害時に備えます。
 町民の生活基盤である町道については、町道5号線、9号線および3175号線等の道路整備を引き続き、鋭意進めます。また、一般国道299号および主要地方道熊谷小川秩父線においては、中郷交差点をはじめとする交差点改良および歩道整備を積極的に促進し、利用者の安全性・利便性の向上、渋滞の解消を図ります。
 令和3年度から運行を開始した、予約型乗合タクシー“のりあいブコーさん号”ですが、秩父市内での乗降場所の増設や割引チケットの試験的発行などを経て、充実してきていますが、引き続き、町民にとって利便性の高い公共交通を目指していきます。また、地域公共交通では、路線バスへの補助を継続していきます。
 次に、4の柱、多様な働き方や生き方が実現できる環境を目指す「産業づくり雇用づくり」です。
 まずは、官民連携プラットホーム「よこらぼ」ですが、新規案件の受け入れを昨年10月から今年の3月までの半年間休止し、一旦、立ち止まって、これまで積み上げてきたものの整理と次に向けた進化を図る期間をつくりました。
 令和6年度は、「日本一チャレンジする町、日本一チャレンジを応援する町」として、事業の実証試験フィールドを提供するという今までのスタイルは継続しつつも、町の行政課題を提示し、事業提案を受け付けるスタイルを加えていきます。
 これらの提案のうち採択事業を対象として、企業版ふるさと納税等を特定財源とする、起こす「起業」等の事業者への助成制度を創設します。あわせて、「よこらぼ」の推進体制を強化し、引き続き「ヒト・モノ・カネ・情報」の流れを促進し、町内の活性化、住民福祉の向上につなげていきます。
 「道の駅果樹公園あしがくぼ」や「キッチンENgaWA」、「ENgaWA駅前食堂」などの指定管理を行っている、有限会社果樹公園あしがくぼ、その100%出資の子会社である地域商社「株式会社ENgaWA」は、地場産品を活用した商品開発などに積極的に取り組んでいます。これらの取り組みが、町内の新たな経済循環や雇用創出につながるよう、地域おこし協力隊や地域活性化起業人等の外部人材を活用しながら、引き続き、連携・協力して取り組んでいきます。
 UIJターンを促進するため、東京圏から移住してきた起業者へ、支援金等を交付する「移住就業等支援金支給事業」や、移住した秩父地域内外の企業就職者への支援となる「定住就職促進奨励金」などを引き続き実施します。さらに、令和5年度に整備した移住体験施設を積極的に活用して、町での暮らし体験などの体験機会を創出していきます。
 次に、5の柱、観光などで訪れる交流人口や、地域や地域の人々と多様に関わる、地域外の関係人口の増加を図り、賑わいを目指す「賑わいづくり中心地づくり」です。
 はっきりした中心(ヘソ)のない横瀬町に、町民会館やエリア898などの公営施設とLAC横瀬、ナゼラボなどの民営施設が集積することにより、この周辺エリアが横瀬らしい中心地を形成しつつあります。令和5年度は、公営施設として「エリア899」、民営施設として「タテラボ」が加わり、さらに賑わいのある中心地として充実してきました。
 令和6年度は、このエリアにあるウォーターパーク・シラヤマの駐車場の拡張や遊具の設置などを整備し、様々な地域・年代の方々、誰もが気軽に立ち寄り、集まり、交流し、活動することのできる中心地づくりを進めます。
 また、横瀬駅・兎沢町有地周辺のエリアについて、兎沢廃川敷の整理ができたことから、このエリアをより有効に活用していくよう準備を進めていきます。
 令和3年度から始動した「日本一歩きたくなる町プロジェクト」ですが、関係機関との連携により、里山まるマルシェなどのイベントの開催や、ウォーキングコースの整備などに取り組み、引き続きウォーキング文化の醸成、歩きたくなる町としての取り組みを鋭意進めていきます。
 次に、6の柱、自然を大切にし、美しい景観と暮らしやすい住環境が調った、自然と共存する暮らしを目指す「景観環境づくり」です。
 省エネルギー対策として、令和4年度から策定作業をはじめた、横瀬モデルとなる省エネ・脱炭素住宅の計画に基づき、令和6年度は、住宅建築にむけた詳細設計等に取り組んでいきます。あわせて、住宅環境改善促進補助事業として、引き続き、既存住宅のリフォームや省エネルギー改修に対する補助を行い、居住環境の向上やクリーンエネルギーの普及、空き家の有効活用の促進を図ります。
 空き家対策は、空家対策計画による空き家の適正な管理を推進するとともに、空き家バンクや補助制度の活用など、空き家の有効活用を目指します。引き続き、老朽空き家の除却補助、危険なブロック塀の撤去補助も行います。
 野生動物による農作物等への被害を防止するため、令和5年度に設置した鳥獣害対策協議会に対する「わな作動通知システム」購入補助等により、有害鳥獣被害防止策を強化していきます。
 森林整備では、「埼玉県山とまちをつなぐサポートセンター」の協力により、都市部の伊奈町との連携を視野に、連携先の森林環境譲与税を活用し、持続可能な森林整備体制の構築などに取り組みます。
 下水道事業は、令和5年度にこれまでの特別会計から公営企業会計へ移行しました。令和6年度は、経営の効率化・健全化により、将来にわたる持続可能な経営に向けて取り組んでいきます。
 次に、7の柱、温かい人の輪がたくさん生まれ続け、豊かな多様性があふれる町を目指す「人の輪づくり」です。
 コロナ禍で薄れかけた、人と人が触れ合う機会が、徐々にではありますがコロナ禍前に戻りつつあります。
 令和5年度から再開した「町民体育祭」や「よこぜまつり」の二大イベントをはじめ、「日本一歩きたくなる町プロジェクト」や「みんなでつくる日本一幸せな町横瀬協議会」などのイベントや事業を通じて、引き続き、内容等に工夫を凝らし、人の輪づくりにつなげていきます。
 また、子どもから大人まで、すべての町民が安心してスポーツを楽しめるよう、町民グラウンドの防球ネットを増設していきます。
 地域おこし協力隊や集落支援員では、地域コミュニティ活動をはじめ、林業分野、有害鳥獣対策を含む農業分野、観光分野、そして、地域商社である株式会社ENgaWAでの活動など、行政課題に対応した地域活性化に意欲のある地域内外の人材を積極的に募集していきます。
 町の文化財では、その保護、保存、活用とともに、伝統文化の継承のため、「地域文化財活用推進実行委員会」に対し、国の補助制度の活用支援しながら、町内の文化財にかかる用具の修理や後継者養成等を支援していきます。
 最後に、7つの柱を支える土台についてです。まず、「日本一相談しやすい町」を目指して、なんでも相談室において「オンラインカウンセリング」を開始します。また、「町の声を聴くプロジェクト」や「町政懇談会 町民と語る会」などを引き続き開催し、あらゆる機会を対話ができる機会ととらえて、対話を通じて相談しやすい雰囲気を醸成していきます。
 さらに、ここまで積み上げてきた様々な連携を結び、横串を通し、より町民の皆様とつながった官民連携や自治体連携を推進し、連動させるため、まち経営課に新たに「連携推進室」を設置します。
 町の広報活動をより積極的に展開していくため、町の取り組みやイベント等を発信すべく、「ちちぶFM」の番組を活用していきます。
 事務の効率化を進めるため、「人に優しいテクノロジー」を活用し、財務会計システムを更新します。さらに、「人に優しいテクノロジーの活用計画」を見直し、DX(デジタルトランスフォーメーション)を進化させ、現計画の目標の再設定などを行います。
 秩父地域の広域連携については、全国のモデルになるような連携を進められていますが、令和6年度は、ちちぶ定住自立圏事業として、特に、秩父地域の医療体制をさらに充実できるよう連携協力していきます。
 広域連携に加えて、本町と福島県磐梯町、そして島根県海士町の3町で、未来の小規模自治体運営の在り方を追求し、未来を共創することを目的に連携協定を締結しています。令和6年度も、新たな自治体との連携を視野に入れ、それぞれの持つ資源や特長を活かしながら幅広い分野で地域を超えた柔軟な自治体連携を展開していきます。
 民間企業等のノウハウや知見を活かし地域の活性化を図るため、地域活性化起業人制度や企業版ふるさと納税制度などにより、引き続き、外部人材を積極的に活用していきます。
 以上、令和6年度における第6次横瀬町総合振興計画の目標「カラフルタウン」実現に向けた、重点施策を申し上げました。


【令和6年度 予算概要】

議案第14号 令和6年度横瀬町一般会計予算
議案第15号 令和6年度横瀬町国民健康保険特別会計予算
議案第16号 令和6年度横瀬町介護保険特別会計予算
議案第17号 令和6年度横瀬町後期高齢者医療特別会計予算
議案第18号 令和6年度横瀬町下水道事業会計予算
の概要を申し上げます。

 令和6年度は、第6次横瀬町総合振興計画の後期基本計画がスタートします。多様な幸せが花開くカラフルタウンに向けて、町民の皆様との「対話」を大切にしながら、よく連携して、横瀬町らしく、積極果敢に事業を進めていきます。
 事業実施に向けて、限られた財源を適切に配分しつつ、積極的に事業を進めていく予算を編成しました。
 その概要を申し上げます。
 令和6年度の予算額は、一般会計43億4,000万円、特別会計3会計合計19億667万4千円、公営企業会計6億6,111万3千円、全体での総額は、69億778万7千円となります。
 続きまして、予算の主な内容を申し上げます。
 まず、一般会計ですが、歳入歳出予算総額は43億4,000万円で、対前年度2.9%、1億2,300万円の増額となります。
 歳入予算の柱である町税は、11億1,477万1千円で、全体の25.7%を占め、対前年度1.3%、1,400万3千円の増額となります。このうち、個人町民税は、雇用・所得環境の改善が進んでいることから、前年度より2,345万4千円の増額を見込んでおります。
 地方交付税は、前年度の交付実績等により、普通交付税12億8,607万6千円、特別交付税2億2,703万2千円を計上し、全体の34.9%を占め、対前年度6.6%、9,337万円の増額となります。
 国庫支出金は、子どものための教育・保育給付費国庫負担金、児童手当国庫負担金が1億4,525万円3千円、障害者自立支援給付費国庫負担金7,134万1千円、社会資本整備総合交付金5,580万3千円などを見込んでおりますが、新型コロナウイルスワクチン接種対策国庫補助金の皆減などにより、前年度比4.9%減の3億2,951万6千円を計上しました。
 県支出金は、子どものための教育・保育給付費県負担金、児童手当県負担金が4,675万3千円、障害者自立支援給付費県負担金3,567万円、埼玉版スーパーシティプロジェクト推進補助金3,455万円などを見込み、対前年度17.3%増の2億5,906万7千円を計上しました。
 町債は、秩父広域市町村圏組合の水道事業に対する出資債1億3,020万円、町道改良事業債4,820万円のほか、保育所整備に対するものとして、こども・子育て支援事業債2,750万円などを見込んでいますが、横瀬小学校校舎整備で計上していた公共施設等適正管理推進事業債の皆減などにより、対前年度30.3%減の2億2,103万3千円を計上しました。 

 続きまして、歳出について性質別に主な内容をご説明申し上げます。
 人件費は、8億5,286万9千円で、全体の19.7%を占めており、対前年度3.6%、2,941万9千円の増額となります。
 物件費は7億6,096万8千円で、全体の17.5%を占め、対前年度1.0%、743万6千円の減額となります。主な事業としては、地域おこし協力隊活動業務委託料、学校給食にかかる材料費および調理等業務委託料や、地籍調査業務委託料などがあります。
 扶助費は、5億834万4千円で、全体の11.7%を占め、対前年度4.8%、2,349万7千円の増額ですが、このうち最も多くを占めているのが管外保育所運営費委託料であります。
 補助費等は、9億5,677万3千円で、全体の22.0%を占め、対前年度5.2%、4,724万円の増額ですが、このうち最も多くを占めているのが秩父広域市町村圏組合への負担金であります。
 普通建設事業費は、4億69万円で、全体の9.2%を占め、対前年度0.4%、178万3千円の減額となります。主な事業としては、社会資本整備総合交付金町道整備事業、ウォーターパーク・シラヤマ施設整備事業などがあります。
 公債費は、3億3,502万円を計上しました。対前年度1.6%、550万1千円の減額となっています。
 
 続きまして、特別会計です。

 まず、国民健康保険特別会計ですが、国民健康保険制度は、平成30年度から埼玉県が財政運営の主体となり、町は資格管理、保険給付、保険税の賦課・徴収、保健事業などの業務を行っています。
 予算総額は、9億1,799万9千円で、対前年度12.6%、1億283万6千円の増額となります。
 歳入では、主に国民健康保険税1億4,760万2千円、県支出金6億7,644万4千円を計上しました。
 歳出では、保険給付費が6億6,141万3千円で、全体の72.0%を占めており、前年度に比べ9,873万円の増額となります。

 続いて、介護保険特別会計ですが、予算総額は、8億5,205万8千円で、対前年度8.8%、6,899万8千円の増額となります。
 歳入では、主に保険料1億9,175万4千円、支払基金交付金2億1,918万1千円、県支出金1億1,819万2千円を計上しました。
 歳出では、保険給付費が7億7,899万1千円、地域支援事業費が5,179万3千円で、全体の97.5%を占めています。

 続いて、後期高齢者医療特別会計ですが、後期高齢者医療制度は、町と埼玉県後期高齢者医療広域連合とが連携して運営しています。
 予算総額は、1億3,661万7千円で、対前年度11.3%、1,389万6千円の増額となります。
 歳入では、保険料と一般会計からの繰入金で総額の99.9%を占め、歳出では、広域連合への負担金が総額の98.3%を占めています。

 続きまして、下水道事業会計ですが、令和5年度から地方公営企業法の財務適用を受け、公営企業会計として運営しています。
 まず、収益的収入は、3億5,399万9千円、収益的支出は、3億4,790万2千円を計上しました。
 また、資本的収入は、2億4,355万7千円、収益的支出は、3億1,321万1千円を計上しました。
 このうち、資本的収入が資本的支出に対し不足する額6,965万4千円は、当年度資本的収支調整額74万6千円、引継金56万6千円、過年度分損益勘定留保資金5,074万4千円、当年度分損益勘定留保資金1,759万8千円で補てんするものであります。

 以上、「施政方針」および「令和6年度予算概要」について述べさせていただきました。
 議員各位並びに町民の皆様には、行政運営により一層のご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。