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vol.56 自殺予防フォーラムで対話の重要性を学ぶ~

更新日: ページ番号:004027

 11月16日、秩父市民会館において、秩父地域自殺予防フォーラムが開催されました。講師の精神科医森川すいめい先生から、フィンランドのある地域の、精神疾患や自殺予防に向けた、対話を重視する先進的な取り組みを教えていただきました。「指導」や「説教」ではなくて「対話」です。本人と医者だけの対話でなく、家族や学校の先生など、関係者が椅子を輪にして向き合って、対話を続けることで、いろいろな誤解や不認識が徐々に解消され、精神疾患の回復につながるのだそうです。

 ベストセラーとなった本「ホモ・デウス」によると、2012年に、世界中で、犯罪や戦争や暴力によって殺された人は年間約62万人、対して、自殺した人は約80万人だそうです。今や、人間は、他者に殺される人よりも自分を殺す人の方が多いのが現実です。つくづく人間は特異な生き物だと思います。精神的な孤立が、自殺の一因になることは、間違いないようなのですが、難しいのは、人と人との結びつきが強ければ強いほど自殺が少ないかというと、そうでもないようで、上下関係がはっきりあって「やらなければならない」とか「~ねばならない」を多く抱える集団(地域)より、平らに「ほどほどの付き合い」をする集団(地域)の方が、自殺率が相対的に低くなる、という研究結果もあるようです。

 自殺予防は重要な社会課題です。とりわけ、未成年者が自ら命を絶つことほど、悲しいことはありません。生きていさえすれば大概のことはなんとかなる、自ら死ぬことだけはしないでほしいと願います。上下関係に基づく説教や指導でもない、対等な関係による「対話」が、そんな社会課題解決の糸口になる可能性を感じたフォーラムでした。

町長
横瀬町長 富田能成 
ブコーさん